偽物について、体験談を交えつつ
2011年7月5日コメント (1)流行りものには少し遅れて乗るのが粋なんだぜ!
話は2年余り前に遡る。ローウィン・アラーラ期のことだ。私はとある大会でのゲーム中、明らかな偽造カードにお目にかかったことがある。
ちなみにカードは青コマ。それは、素人目に見ても「偽物」としかいいようのない代物だった。性能の良くないスキャナーを使ったのだろうか。カードの裏面(テキストが書かれている方)全体に濡れたようなにじみが見られた。そしてカードの端には無数の傷が認められた。おそらくは裏面の紙一枚だけ剥がして、コピーした画像を貼り付けたのだろう。
で、俺はどうしたか。
そのままゲームを続けた。ジャッジを呼ばず、誰にもこの話をしなかった。当日、彼が処分を受けた様子はなかった。
幸い、スリーブの上から触って分かるような凸凹や厚みの違いはなかった。むろん、相手には分かるものだったのかもしれない。しかしそれは、ゲームに臨む者全てが抱えているリスクというべきものであり、カードの真贋は一次的な問題ではない。スリーブの端を少し折り曲げておく、一見して分からない程度に傷を付けておくetc.如何様にでもイカサマは出来る。逆に言えば、こちらも如何様にでも難癖をつけられる。疑い始めればキリがない。自身がモラルを持つと同時に、多少なりとも相手のモラルを信じているのでなければ、ゲームは出来ない。
もちろん、偽造カードを使うような相手のモラルを信じた私はたいがいな愚か者だろう。しかし私は、マジックのゲーム性以外の部分で決着をつけるのがたまらなく嫌だったのだ。
この「ゲーム性以外の部分での決着」という語句には2つの意味がある。
①不正行為によるゲームの強制終了という意味。
②経済的な意味。
①の方は分かりやすい。仮に相手のイカサマの発覚により自分が勝つことになったら、それは大変に不愉快なことであろうが、甘受できる。そして負けたプレイヤーに対する同情の余地は一切ない。
しかし②の意味が絡んでくると、話は少々違ってくる。
上の偽造カードを使っていたのは、若い子だった。高校生くらいだろうか。当時の青コマの店頭価格は3000円強。決して安い買い物ではないだろう。
「経済力による差」は厳然としてある。プレイヤーの高年齢化に伴い、明らかな「貧乏デッキ」をスタンのトーナメントに持ち込むプレイヤーは減った。しかしたまにそのようなデッキと対戦することになると、とてつもなく悪いことをしているような、そんな何とも名状し難い気分になるものだ。むろん、こちらには何らの責任もないのだが。
一般論としては、偽造カードの存在は悪いことに決まっている。我々の日々のマジックの活動は、ハスブログループの経済活動の環のなかで行われているものであり、偽造はこの根幹を傷つけるものである。それゆえ、偽造カードを作る側は勿論のこと、使う側も悪である、という結論に至らざるを得ない。
通貨偽造からの類推で考えれば、簡単なことだ。偽札を掴まされた者は被害者であるが、その偽札を使用することは許されない。仮に偽札と分かっていてそれを使用した場合、当然(非常に重い)罪に問われる。同じく、偽造カードを掴まされた者は被害者であるが、それを使用することは悪である。大枚はたいて購入したものであろうと、即刻破棄するか、wotcに提出すべきである…。
そのような結論に至らざるを得ないのだが、1プレイヤーとしての視点に立つと、別の結論が出てきてしまう。
何か、複雑な気分です。
話は2年余り前に遡る。ローウィン・アラーラ期のことだ。私はとある大会でのゲーム中、明らかな偽造カードにお目にかかったことがある。
ちなみにカードは青コマ。それは、素人目に見ても「偽物」としかいいようのない代物だった。性能の良くないスキャナーを使ったのだろうか。カードの裏面(テキストが書かれている方)全体に濡れたようなにじみが見られた。そしてカードの端には無数の傷が認められた。おそらくは裏面の紙一枚だけ剥がして、コピーした画像を貼り付けたのだろう。
で、俺はどうしたか。
そのままゲームを続けた。ジャッジを呼ばず、誰にもこの話をしなかった。当日、彼が処分を受けた様子はなかった。
幸い、スリーブの上から触って分かるような凸凹や厚みの違いはなかった。むろん、相手には分かるものだったのかもしれない。しかしそれは、ゲームに臨む者全てが抱えているリスクというべきものであり、カードの真贋は一次的な問題ではない。スリーブの端を少し折り曲げておく、一見して分からない程度に傷を付けておくetc.如何様にでもイカサマは出来る。逆に言えば、こちらも如何様にでも難癖をつけられる。疑い始めればキリがない。自身がモラルを持つと同時に、多少なりとも相手のモラルを信じているのでなければ、ゲームは出来ない。
もちろん、偽造カードを使うような相手のモラルを信じた私はたいがいな愚か者だろう。しかし私は、マジックのゲーム性以外の部分で決着をつけるのがたまらなく嫌だったのだ。
この「ゲーム性以外の部分での決着」という語句には2つの意味がある。
①不正行為によるゲームの強制終了という意味。
②経済的な意味。
①の方は分かりやすい。仮に相手のイカサマの発覚により自分が勝つことになったら、それは大変に不愉快なことであろうが、甘受できる。そして負けたプレイヤーに対する同情の余地は一切ない。
しかし②の意味が絡んでくると、話は少々違ってくる。
上の偽造カードを使っていたのは、若い子だった。高校生くらいだろうか。当時の青コマの店頭価格は3000円強。決して安い買い物ではないだろう。
「経済力による差」は厳然としてある。プレイヤーの高年齢化に伴い、明らかな「貧乏デッキ」をスタンのトーナメントに持ち込むプレイヤーは減った。しかしたまにそのようなデッキと対戦することになると、とてつもなく悪いことをしているような、そんな何とも名状し難い気分になるものだ。むろん、こちらには何らの責任もないのだが。
一般論としては、偽造カードの存在は悪いことに決まっている。我々の日々のマジックの活動は、ハスブログループの経済活動の環のなかで行われているものであり、偽造はこの根幹を傷つけるものである。それゆえ、偽造カードを作る側は勿論のこと、使う側も悪である、という結論に至らざるを得ない。
通貨偽造からの類推で考えれば、簡単なことだ。偽札を掴まされた者は被害者であるが、その偽札を使用することは許されない。仮に偽札と分かっていてそれを使用した場合、当然(非常に重い)罪に問われる。同じく、偽造カードを掴まされた者は被害者であるが、それを使用することは悪である。大枚はたいて購入したものであろうと、即刻破棄するか、wotcに提出すべきである…。
そのような結論に至らざるを得ないのだが、1プレイヤーとしての視点に立つと、別の結論が出てきてしまう。
何か、複雑な気分です。
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